心療内科・精神科 白川クリニック(北九州小倉)

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診療案内

治るを支える診療

人間の身体は頭と体と心でできています。

 

体と心をコントロールしている中枢が頭=脳であり脳の機能が調子を崩すと体と心はうまく機能しなくなります。

 

白川クリニックでは薬物療法によって脳の働きを整え精神療法を通じて心が柔らかさを取り戻せるよう診療をおこないます。

 

人間には、自分で自分をいたわり、治ってゆく力があります。

 

治すのではなくみずから治るものだと考え私たちはその「治る力」の 手当てと手助けをしていきます。

 

脳の機能が誤作動を起こし、体と心のバランスが乱れると、どのようなことが起こるのでしょう?

あたまに起こること

「物忘れ」「記名力障害」と呼ばれる症状ですが、この原因となる疾患は非常に多く、脳血管障害や認知症などを調べておく必要があります。器質的な問題がなければ、「思考力低下」といううつ病に多い症状です。

「集中力低下」という症状です。今まですぐに決断できていたことになかなか判断がつかず(判断力低下)、今までのように業務をこなすことができません。例えばメールひとつ読むにしてもひどく時間がかかるようになり、内容が頭に入らず、物事をスムーズに考えることができません(思考力低下)。そうすると作業効率は著しく低下します。結果、ミスが続くため職場での評価が下がり、信頼感を失うことで周囲との関係が悪くなり、抑うつ感を増強します。

うつ状態になると物事を悪い方にばかり受け取り、どんどん苦しみが増していきます。いわゆる「ネガティブ思考・マイナス思考」といって、セロトニンという脳の物質(幸福感や元気を保つ物質)が足りなくなることに関係します。身の回りに起こる出来事を明るくとらえることができず、今まで気にならなかった小さなことが心配になります。しだいに「周囲に迷惑をかけている」と罪悪感を持つようになります。それが進むと「嫌われている」「悪口を言われている」という被害妄想に発展し、誰にも相談することできずつらさが積み重なっていきます。自分のことも嫌いになり、こんな人間はいなくなった方が周りのためだと思い込み始め、「消えてしまいたい」という考えが頭から離れなくなってしまいます。

「神経過敏」と言われ、視覚や聴覚が敏感になり、光がまぶしく感じたり小さな音にビクッとしたりします。神経疲労により起こる症状で、疲れがたまり神経という繊細な臓器が傷んでしまっていることを表しています。放っておくと耳鳴りやめまい、ふらつきにも発展し、改善が難しくなります。

「強迫」という症状です。考えても仕方のないことを考え(強迫観念)、繰り返しても仕方がない動作を繰り返します(強迫行為)。ただ本人が気にしているだけなら良いのですが、症状の悪化にともない、家族に確認を手伝わせたりと周囲を巻き込むようになります。見えない強固な縄にぐるぐる縛られるように、だんだんと日常生活が制限され始めます。

汚れへの恐れ(不潔恐怖)から消毒や手洗いを繰り返し(手洗い強迫)、洗い物が何かに触れると洗いなおしたり、少しの汚れを拭き取って回ったりと家事がなかなか進みません。

また、鍵やガスを何度もチェックして(確認行為)外出できず、途中で気になって家に戻る(巻き戻し)こともしばしばです。

解決できない昔の出来事にこだわりつづけ、いつまでも悔やんだり今の出来事に関連づけたりします。自分のした行いで何か悪いことが起こるという思い込み(妄想)に囚われ、関係のない事柄を結びつけ、それが自分のせいであると苦悩します。車の運転では「物にぶつかった」「人をひいた」と何度も道を引き返します。

強迫症状に悩む方々の話す内容はどれもよく似ていて、全ては大変苦しいものです。第三者に理解されるのは難しく、一人で苦しみ続けます。なんとか克服したいと願うのですが、「薬に頼りたくない」「治療をすると負けだ」という観念にとらわれますます苦悩します。

「イップス」と呼ばれる、一時的な脳の混乱です。あがり症やパニック症候群と似ていて、治療法は同じです。

「幻覚妄想」という、とても広い範囲の症状です。代表的なものは頭の中で声がするという「幻聴」や、存在しないものが見える「幻視」です。現実感のないことを思い込み、訂正できなくなっている考えを「妄想」といいます。統合失調症という疾患に多く見られる症状ですが、その他の精神科疾患でも起こりうるため、基礎疾患は何なのか時間をかけて探っていきます。薬物療法が必須であり、精神療法やカウンセリングだけで治すことはできません。

幻覚妄想は一日中、何日も何ヶ月も続くため、苦しみ続けます。神経は衰弱し、世界が暗黒に思えてどんどん孤立してゆきます。特に「自分が被害を受けている」という強い思い込み(被害妄想)は、周囲に激しい攻撃が向くため大変危険な症状です。ニュースになるようなトラブルや事件に発展することがあります。

からだに起こること

「不眠」という症状です。ほとんどの精神科疾患に現れる症状で、患者さんが最も悩むことのひとつです。入眠困難(寝つきが悪い)・中途覚醒(途中で目がさめる)・早朝覚醒(朝早く起きてしまう)という3つのパターンにわけられます。不眠は自力で努力してもうまくいかないことが多いため、睡眠導入剤や神経作用薬を利用しながら、眠りのリズムが戻るように促します。

「頭重感」「体重感」という症状で、痛みに似たなんとも言えない重苦しさやしめつけを、肩から背中、頭の周りなどに感じます。表現がしにくく気持ちの悪い感覚で、何か暗いものにのしかかられている感じがします。耳鳴りやめまいが起こることも多く、耳鼻科では異常が見つかりません。

「倦怠感」という症状です。少しの活動でも動きがにぶくなり、いくら休んでも疲れが取れず、ため息ばかりが増えていきます。不眠や食思不振から、体力が低下していることも大きく影響します。気持ちがふさいでいる上に体もきついので、大変につらい思いをします。

「自律神経症状」と言われ、全身の様々な部分に不調を感じます。肩こりや頭痛、背部痛(疼痛)、胃痛や下痢便秘(消化器症状)などが多くみられます。動悸や不整脈など心臓に不調(循環器症状)が出ることもあります。しかし内科や外科、脳神経科でさまざまな検査をしても、異常はありません。「自律神経失調症」と診断されることが多いです。

このような身体症状が主になり、抑うつ感などの精神症状はあまり目立たない場合を「仮面うつ病」や「心身症」と呼びます。なにか悪い病気なんじゃないかと心配になり(心気症)、いろんな病院の受診を繰り返す(ドクターショッピング)ことがあります。

「食思不振」という症状です。食事を楽しめない、美味しくない、味がしない、などから始まり、しだいにお腹が空かなくなり、食事を受け付けなくなります。体重が減ってしまうこともあります。そのため栄養状態が悪くなり、睡眠も浅くなり、体調をますます壊してしまうという悪循環を生みます。睡眠と食欲は人間の最も基本的な営みです。いち早く整えておく必要があります。

それぞれ「パニック症候群」という疾患の症状です。肺や心臓、胃腸など私たちが自分で動かせない臓器の働きが一時的に大きく乱れ、身体中に発作がおきます。昔は「自律神経の嵐」と呼ぶこともありました。薬によって大幅に改善することが多いです。

「過呼吸発作」というパニック症候群の症状の一つで、「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖心を抱きます。多くは人ごみや閉鎖空間で起こり、発作のタイミングに合わせ抗不安薬の頓用で対処します。ひどくなると家の中などのリラックスした場面でも起こるようになり、いつ発作が起こるかわからないため、「またなったらどうしよう」という不安(予期不安)が続きます。

いわゆる「あがり症」で、心療内科では「社交不安症」「社会不安障害」などと呼ばれます。挨拶や会議、発表の時などの際、過度に緊張してしまって言いたいことが半分も言えません。発汗や赤面、手の震えなどがみられるため、焦りがどんどんひどくなり、緊張が緊張を呼びます。薬が開発される前は手のひらに人を3回書いて飲み込んだりしていたのですが、今は治療薬が確立しているため、時間はかかりますがとても良くなる疾患の一つです。

うつ状態になると、ものを考えるのがおっくうになり一日中眠気を感じます。不眠からくる寝不足や集中力低下もくわわって、いつもぼんやりとして頭がうまく働きません。

うつ病には「気分の日内変動」という特徴がよく見られます。これは朝の気分が最悪で動きも鈍く、昼過ぎから夕方にかけて少しずつ良くなってくる、というリズムです。夕方に少し楽になっても、夜がまた眠れず不安で、早朝から目が覚めてしまうので疲れが取れずに、また重暗い気分で朝を迎えるという、心身ともに苦しいサイクルが繰り返されます。

こころに起こること

何か悩みや心配ごとがあるわけではないのに、「漠然とした不安」が消えない状態が続きます。落ち込みや焦りを伴うことが多いです。

「情緒不安定」といって、感情のコントロールができなくなる状態です。ひどくなると職場などでも涙を流すようになるため、とても困ります。

「興味関心の低下」という症状です。大好きだった趣味にも気が乗らず、楽しみを感じなくなります。抑うつ感や意欲低下からくることが多いですが、気分とは関係なく「なんとなく世の中に興味がなくなった」「世界が色あせて見える」ということもあります。いずれにせよ、この症状は「引きこもり」につながりやすく、社会参加の機会を失い、人生の様相を変えてしまう危険性があります。

「抑うつ感」という症状です。理由なく落ち込んだり(憂うつ気分)悲しい気持ちがぬぐえなかったり(悲哀感)、どうにも気持ちが晴れません。だんだんと何に対しても否定的な考えが頭から離れなくなります(陰性思考)。この症状を放っておくと、しだいに絶望的となり、「自分がいなくなった方が周りの人は喜ぶだろう」という思い込み(妄想)が生じます。ついには「消えてしまいたい。死んでしまいたい」という気持ちが沸き起こる(希死念慮)ようになり、自殺を図ろうとするなど非常に危険な状態に陥ります。お薬による治療や入院を早急に要します。

「意欲低下」という症状です。脳の神経伝達物質がバランスを崩すことで、エネルギーをためることも出すこともできない状態におちいります。仕事や外出に積極的になれず、そのため生活が回らず周囲に迷惑をかけるようになります。そうすると落ち込みが増し、自分を責め(自責感)、自分がいやになります(自己嫌悪感)。気持ちがどんどんふさぐため毎日がつらいものとなり、基本的な日常生活を送ることも億劫で(無気力)、入浴や化粧など身だしなみを整えることをせず、寝たきりのような状態になります。

物事を朗らかにとらえることができず、些細なことですぐに「怒り」を感じます。怒りが増すとこらえきれずに爆発するようになり(激昂)かんしゃくを起こします。この症状は周囲とのトラブルを起こしやすく、気持ちを静める感情調節剤や抗不安薬を利用するなどして対処します。将来への不安や焦り(不安焦燥感)がきっかけになっていることも多く、いらいらの起こりかたを探ることが重要となります。

「気分高揚」は躁状態の症状です。つねに楽しい気持ちが続き(多幸感)、次々といろんな行動を起こし(過活動)、アイディアが止まりません(観念奔逸)。不眠不休でも元気いっぱいで、朝早く目覚めても(早朝覚醒)力がみなぎっています。外出と買い物が増え、いらないものや高価なものに次々とお金を使うようになります(乱費)。周囲が心配しても気が大きくなっているので止まらず、喋りすぎたり(多弁)人付き合いや行動にも抑制がききません(脱抑制)。しかし人間のエネルギーは一定です。必ず力が衰え(枯渇)、その後には深い「うつ状態」が訪れます。

「アンヘドニア」また「エモーショナルブランティング」と言われ、古くから「感情鈍麻」や「情動の平板化」と表現されてきた症状です。統合失調症にみられることが多いですが、近年、うつ症状としても注目されています。上記の「興味関心の低下」が悪化し、喜怒哀楽の情緒が失われることで、周囲からは「別人のようになった」と奇妙な印象を持たれます。元気になることへの希望すら感じなくなるため治療にならず、とてもよくない状態です。

「薬をうまく利用する」
という考え

心療内科の治療は大きく三つに分けられます。

当院では薬物療法と精神療法をおこなっています。


代表的な治療薬には以下のものがあります。

薬物療法は、これらの薬を数種類ずつ組み合わせて行います。

お薬同士にも相性があり、何と何を組み合わせるのかがもっとも重要となります。

効果や副作用には個人差が大きいため、少量から開始し、患者さんの飲み心地やお気持ちを聞きながらゆっくりと調整していきます。

ここ30年ほどの間で神経に作用する「向精神薬」は大きな進化をとげ、次世代と呼ばれる数々の新しい薬が多くの患者さんを救いました。

かつて心療内科・精神科の薬といえば、効果が乏しいうえに副作用の強いものが多く、治療を難航させてきました。

脳神経の研究はまだまだ進んでおらず、今解明されつつあるセロトニンやドーパミンなどの「神経伝達物質」についても多くの不明な点がありました。

そのためうつ状態や幻覚妄想は、「心の病」と曖昧に呼ばれ、性格や甘え、気合が足りないからだなどと厳しい言葉をかけられる患者さんがたくさんいたと思います。

薬の種類は少なく、どうしても長期の入院治療が必要となるため「精神科に入院したら出てこれない。」「薬を飲み始めたら一生やめられない。」と言われてしまうことも多くありました。

そのような考えに傷ついてきたのは患者さんたちだけではなく、私たち精神科領域に携わる医療従事者も同じでした。

その悔しさもあり、長い時間をかけてでも良い向精神薬を開発することを諦めずにいた結果、1980年代より脳機能の研究が劇的に進み、幾つもの優秀な薬剤が生まれました。

それらを治療に活用しない手はなく、精神療法を行いながらお薬を併用していくのが当院の基本的な治療指針です。

人間には自分で治る力「自然治癒力」があり、時間を待ちさえすれば、心身の失調はゆっくりと回復してゆきます。

しかしその時間は想像するよりもずっと長く、自然治癒を待つあいだの苦しみは大変に辛いものです。

また心や神経も体の一部です。

風邪をほったらかして肺炎を起こしたり、便秘から腸炎になることもあるように、こじらせると心も「炎症」を起こします。

早めの発見と早めの治療がもっとも重要という考えのもと、暗い時間をできるだけ短く、明るい時間を少しでも早く取り戻せるように薬物療法を行う意味はそこにあります。

しかしながら、いくらお薬の治療が発展したとはいえ、「薬に頼りたくない」というお気持ちは十分に理解できます。

嫌がるものを無理に飲ませることはいたしません。

積み重なった傷つきを語り、悩みごとを整理し、心のうちを少し開放するだけでも気持ちが晴れやかになることもあります。

まずは当院をお訪ねください。

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